ビジネスにおける「見える化」の目的は、現状を把握して課題を発見した上で、解決するために業務改善を行うこと。つまり「見える化」は、課題の発見と改善後の検証の双方を支えるために役立つデータ活用の在り方です。
プロジェクトの見える化を例にすると、計画した戦略(Plan)を現場で実行(Do)し、戦略の実施状況を評価(Check)し、計画した戦略実現のために改善活動(Action)を行うこと。そして、このPDCAサイクルを回す仕組みが見える化の基本です。
現在においては、財務諸表だけで見える化を実現できるのか、というとそうではないと考えます。
財務諸表はあくまでも“企業のある時点の成績表”であり、企業活動の結果を財務の切り口から評価したものです。
ビジネスの現場で起きている変化を表現することはできず、将来の市場の変化に対する知見を示唆するものではないはずです。
複雑で変化の速い現在のビジネス環境においては、見える化のための道具としては不十分です。
今後のビジネス環境の変化に対応するためには、意思決定における判断のスピードアップや業務革新を図ることが重要になってきています。
そこでは、財務諸表の結果による管理型の経営だけではなく、ビジネス環境に適応して迅速にPDCAサイクルを回すスピード経営が求められます。
そのためには、経営数値・業務プロセス・企業課題などの視点で企業全体を見える化することが必要になって来ます。